今年4月、政府の有識者会議にて技能実習制度の廃止と、
それに向けた新たな制度への移行を求めるたたき台が示されました。
もとより技能実習制度は、
海外からは「奴隷制度」と言われており、
その背景には過酷な労働環境や低賃金、相次ぐ失踪などといった
トラブルが相次いでいることが挙げられます。
また、「技能移転を目的」とした意義を掲げていますが、
日本の労働力不足を補っている実態もかねてより問題視されてきました。
新たな制度の方向性として、
「定義の変更」「対象職種の限定」「転籍の自由」
「監理団体・登録支援機関の要件の厳格化」などが挙げられています。
特定技能制度から見たこの制度変更に対する
メリット、デメリットとしては、
あくまでも個人的見解ですが以下のようなことが考えられます。
メリット
・日本語能力はこれまで以上に高いレベルの人材が採用できる
→現行の技能実習制度は
日本語能力に関しては水準を設けていませんが、
新制度ではこの部分も水準が設けられます。
また、日本で働きながら
日本語能力を向上させる仕組みも設けられるようです。
・不要な登録支援機関の排除
→技能実習制度でも悪徳なブローカー問題はありますが、
実は特定技能でも同じように起こっています。
今後は監理団体、登録支援機関は
人材派遣と同じように許可制に移行することが検討されており、
よりまともな機関だけが残る制度になることが期待されます。
デメリット
・3年の経験を有する人材の採用ができない
→特定技能の採用の一番のメリットは
「技能実習で3年の経験を積んだ」人材を採用できること
だと考えられていました。
もし技能実習制度の廃止で
特定技能がスタートラインになる場合は、
最も大きなメリットが失われてしまいます。
・外国人の転職慣れ
→特定技能制度では転職は認められています。
SNSコミュニティで求人を見つけ転職するケースが大半です。
雇用の流動化が悪いことだとは思いませんが、
「日本人と同等以上」という条件を設けている特定技能制度では、
短期離職はコスパが決して高くないのかなと思います。
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