経営者の皆様におかれましては、
常に市場の波に立ち向かう決意と共に、
事業の持続可能性について考える日々が続いていると思います。
帝国データバンク『全国企業倒産集計2023年度上半期報』によると、
2023年4~9月までの倒産件数は、4年ぶりに4,000件を超え
15年ぶりに全7業種・全9地域で前年同期を上回る結果だったようです。
主因別にみると「販売不振」が3,312件と最も多く、
全体の78.7%を占めました。
そのような状況下でも、新しい事業を模索している会社が多いように思えます。
中には自社の本業とは関係ない新規事業を行ったり、
異分野に進出しようとする会社もあります。
「新しいことに挑戦する」「失敗を恐れない」
こういった考え方は素晴らしいのですが、新規事業が成功する確率は低く、
経営状況の厳しい会社にとっては致命傷にもなりかねません。
中小企業庁『2017年版中小企業白書』によると、
新事業展開を行った会社のうち
「成功している」と回答した企業は約28%でした。
新規事業には魅力がありますが、成功率の実態は冷徹です。
時には本業から目を逸らさせ、
予期せぬリスクへと導く可能性もあります。
そうした中で、新規事業の成功確率を高めるためには
どのような戦略を取れば良いのでしょうか?
まず基本となるのは「既存事業の再評価」です。
新しい挑戦は魅力的ですが、
既存の事業基盤をなおざりにするわけにはいきません。
なにか新しいことを始めようと思ったときには
期待と不安両方あると思いますが、
期待が上回り本業を見失ってしまうことがあります。
新規事業は、既存事業とのシナジーを重視し、
根本的な顧客理解に基づいて検討されるべきです。
ここに成功の鍵があります。
既存の顧客ネットワークを活かすことで、以下のメリットが期待できます。
・お客様の満足度を向上させることができる
・追加で仕事をいただくことができる
・単価を上げることができる
・広告宣伝費を抑えることができる
また、よく自分自身に言い聞かせていることではあるのですが
風呂敷を広げるのは簡単ですが、たたむことは大変です。
撤退戦略は新しいビジネスを始める前に定めておくべきでしょう。
それは、成功の見極めだけでなく、情熱の継続にも不可欠です。
不透明な未来に対しては、逆算思考で計画を立て、
リスクを見据えた上で、情熱を持続させる指標を設定することが賢明です。
新たなビジネスは、決して感情に流されることなく、
戦略的に、そして計画的に進める必要があります。
そこには、時に冷静さを欠いてはならない
経営者の決断が求められているのです。
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