シナジー活動記
2018/06/10 (日)
シナジー 広報

好きで得意を、顧客のために活かせるか

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休日には入場待ちの行列ができ
入館者数の前年比増を
毎月達成している水族館があります。

 

 

大都会のオシャレ水族館でも
人気観光地にある
巨大水族館でもない。

 

 

 

人口8万人ほどの愛知県の
蒲郡(がまごおり)市にある
竹島水族館です。

 

ここで展示している生き物は
魚類のほか
大きい動物は
アシカ、カピバラ。

 

館長を含めた
スタッフはたった
7人しかいません。

 

建物は国内で2番目の古さで
水槽を軽く見るだけなら
10分弱で歩き回れるほどの狭さ。

 

条件面では決して恵まれていない
むしろ、残念としか言いようがない
弱小水族館が

 

2016年度は
39万8000人もの客を集めて
話題になっています。

 

しかも、17年度は耐震工事のために
4カ月間の休館をしたにもかかわらず
35万人を達成。

 

今年度は43万人の
目標を掲げているそうです。

 

わずか8年前は
年間12万人ほどしか来ない
不人気施設で、閉鎖寸前でした。

 

好きで得意なことを
仕事にすることをずっと
大切に伝えていますが
やり方を間違えると
おかしなことになります。

 

今の館長に話を聞くと
意外な答えが返ってきます。

 

水族館の人たちは
魚が好き過ぎる。

 

魚をうまく飼育して増やして
給料がもらえればそれで満足。

 

 

お客さんに楽しんでもらうという
意識が無かったといいます。

 

 

かつては
館内は図鑑の説明文を
つなぎ合わせたような
難しい文章を業者に依頼し
プレートにして掲げていたそうです。

 

 

多額の費用はかかるのに
ほとんど誰も読んでいない。

わかりやすい手書きのPOPを
勝手に描いて館内に貼り出すと

 

翌日に出勤すると
全て剥がされて事務所の机の上に
置いてあったそうです。

 

先輩たちからは
「そんなことよりもまずは
魚の飼育を覚えろ」
と嫌われたそうです。

 

経営者も管理者も
飼育者(好きで得意な人)
の論理で運営する中で

 

今の館長
顧客目線で考えて
組織で孤立したそうです。

 

 

 

一方で、入館者数は低迷を続け
市が運営を手放すことが決まります。

 

 

年間24万人を割ると
収支が赤字になるため
多額の税金を投入し続けることが
議会で問題とされたのだそうです。

 

 

建物は市が所有し続けるが
運営は水族館スタッフが
設立した会社が
指定管理者として
委ねられることになります。

 

 

しかし、このままお客さんが
増えなければ給料すら出ない。

 

 

魚も飼えなくなる。

 

 

失業の危機を感じた先輩社員が
次々に辞めてしまいます。

 

 

そう
ここ

 

こういった変化のときに

 

 

逃げ出すのか
踏ん張るのか

 

 

当然危機感を感じて
逃げ出した人たちの中には
飼育員という
専門職員が多くいたようです。

 

 

専門職であれば
顧客との接点はなく

 

専門的な仕事をいかに進めるか
ということが平素の仕事では
とても多くなります。

 

 

しかし顧客のことを
考えていない職員が多くなると
その業務がどれほど
好きで得意だとしても
顧客に無関心なことが伝わります。

 

 

顧客接点
顧客視点を
専門職員が失い
長い時間が経過すると

 

 

専門職員の強い理屈だけが
まかり通り次第に
顧客が離れていき
最後は危機感を持った
専門職員すらも転職して
いなくなる。

 

 

好きで得意なことをしつつも
顧客との接点を忘れては
いけません。

 

 

でも、難しいのは
もとの職員さんたちも
自分では顧客目線で仕事を
していると思っているわけです。

 

 

でも、そういった
勘違いをしている人たちが
いなくなったからこそ

 

 

魚に興味がない人でも楽しめて
少しでも魚を好きになる場を
作ることが自分たちの仕事。

 

 

そう考えて
様々な取り組みをして
客足を取り戻したそうです。

 

 

好きで得意なことをやることと

顧客のことを真剣に考えること

 

この2つの視点を誰もが
持たないといけません。

 

 

魚マニアの自分たちが
やりたいことではなく
普通のお客さんが
求めているものを作っていく
ことの重要性。

 

 

客の意見を取り入れるには
客を「観察」するしかありません。

 

 

予算がない
スタッフが少ない
そもそも客が来ない。

 

 

かつての竹島水族館のような
状況にある会社は世の中に多いもの。

 

 

言い訳のネタならば
事欠かきません。

 

 

 

好きで得意なことを
突き詰めるとしても
自分たちのエゴでもいけない。

 

 

好きで得意を活かす場所は
それはちゃんと
人のためになるということ。

 

 

意外と忘れがちで
勘違いしがち。
 
 

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この記事を書いた人
『ぐっとくる会社を、もっと。』を、ブランドスローガンに中小企業を活性化させる活動をしているが、自社でも財団法人次世代普及機構が主催する2017『ホワイト企業アワード』の制度部門で大賞を受賞している。
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