とてもラッキーなことに、あなたには大好きな彼か彼女がいるとしましょう。
あなたは、相手のどこが好きなのか、明確に語ることができるでしょうか。
「優しいところ」「料理が上手」「子供好き」いろいろな要素を並べることによって、
相手の良いところを語ることはカンタンです。
ではあなたは優しくて、料理がうまくて、子供が好きな人であれば、
どういった人でも付き合えるのでしょうか。
当然、そうではないはずです。
あなたが大好きな相手は、確かに優しく、料理がうまく、子供好きかもしれませんが、
それはその人の情報の一部でしかありません。
あなたがつきあいたいのはそういう条件を兼ね備えた人ではなく、
「私が好きになった人」であるはずです。
大好きな人が仮に料理が下手くそだとしても、
あなたはもっと他に相手の良いところを見つけるでしょう。
こういう条件だから好きになったということではなく、好きになった人はこういう良いところがあるよね。
というのが正しい表現ではないでしょうか。
好きになってしまえば、良いところはいくらでも見つかるものです。
しかし、あなたは相手が誰でも好きになるわけではありません。
やはりあなたには、好きになる相手とならない相手がいるはずです。
では、その違いは何なのでしょう。
実はそれを明確に語るのは、想像しているよりもずっと難しいものです。
こういう人は好きではない。
こういう人とは付き合いたくない。
そういったネガティブなポイントを整理することは決して難しいものではありません。
あのお店に行かない理由。
辛いものが苦手で…。と選択するのは簡単です。
服に匂いがつくから、タバコ吸う人とは旅行には行きたくないんです。
こういったものであれば、明確に判断もできるし、話もできる。
でも、反対に、このレストランが好きな理由とか、
この人と一緒にいたい理由みたいなものは、一言で表現するのはとても難しいものです。
それは、断片的な条件ではなく、
いろんなものが複合的に入り混じって形作られているからです。
嫌いになるのは、たった1つの明確な理由があるだけで十分です。
しかし、1つの条件だけで、人を好きになることは、ほとんどない。
犬をイジメていたら、その人のことを嫌いになるには十分です。
でも、犬が大好きだからという理由だけでは、付き合ったりはしません。
選ばない理由を語ることは簡単ですが
選ぶ理由を明確に語ることは簡単ではないのです。
では、選ぶ理由が語れないと何か問題はあるのでしょうか。
正直、恋愛においてはさほど問題はありません。
理由などなくても好きだという事実が何よりも重要なので…
ですが、ビジネスにおいては、事情が変わります。
顧客自身が選んだ理由を明確に語ってくれないと、口コミにならないわけです。
「あそこの会社、いい感じだよ!」「あなたがそう言うなら、仕事頼んでみようかな?」と行動してくれればそれでも良いのです。
でも、実際に何が良いのかがわからない…。違いがよくわからない…。結局途中で発注をやめてしまった。
なんていうこともあるでしょう。
口コミというのは、「自分がそこで買う理由」をきちんと伝えてくれることが重要です。
「仕事が早いんだよね〜」「仕事が丁寧なんだよね」
「知識が豊富で、仕事を任せておけば良いので安心なんだよね」
こんな感じで、相手が選別できるような情報を口コミでしてもらう。
これが口コミの本質だと言えます。
小さな会社は”顧客にどのように語ってほしいのか”
自分たちが決めていかないといけないわけです。
ここが曖昧なまま、良さそうなものを羅列していくことで、
顧客が言葉にできない「なんとなく、いい」を作り込んでしまうもの。
「なんとなく、いい」は、決して悪くないのですが、「言葉にできる、良さ」を持たない限り、
顧客が口コミしてくれる可能性は極端に低くなるわけです。
口コミ・紹介は、経営資源が乏しい中小企業にとっては、とても重要です。
自社を、どう紹介して欲しいのか。
言葉にする努力は、本当に欠かせません。
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