10年以上シナジーの採用活動に携わってきた小濱さんに、採用活動のこだわりをお伺いしました。
1 人集めに苦労した初期
ー採用活動が最初はうまくいっていなかったと聞きました。どのように変わっていったんですか?
シナジーが新卒採用を始めたのは2010年、ちょうど
リーマンショックが終わってすぐの頃でした。
不景気で新卒採用がなかなかできない会社が
増える中、逆張りという形で、よくわからないまま始めたんです。
「大手がやっていないから
学生が溢れているだろう」、と考えたんですね。
ハローワークや市が開催するイベントから
スタートし、予算をとって大手求人媒体のブースの
出展もおこなっていきました。
でも、最初はほとんど人が集まりませんでした。
大手が集まっている会場に50万円払ってブースを
出したのですが、来てくれる人は1日10〜20人くらい。
来場者は3,000〜5,000人くらいはいたはずですが、
通り過ぎられて。
当時は新卒採用の知識も経験もないので、
ビラを配ったり、社内の写真や仕事風景をブースに
貼り付けるくらいしかできていませんでした。
2 人は集まるが、ミスマッチも多かった時期
それからというもの、装飾を頑張ったり、
身なりを整えたり、キャッチフレーズを考えたり、
呼び込みも積極的に行ったりして、2015年あたりには
100人ほどブースに人が来てくれるようになりました。
ーすごい!かなりの変化ですね。
2013年〜毎年3,4人ほど採用できるようになり、
採用自体はうまくいったように見えました。
この時期に新卒で入ってくれた社員で、今も残っているのは1人だけです。
1〜4年で新入社員が辞めてしまうような採用を
してしまっていました。
「良い人を採用したい」ではなく
「応募を増やして、来てくれそうな人を選ぼう」
というスタンスになっていたのが間違いでした。
当時の面接回数は2回と少なかったですし、
きちんとシナジーのことや仕事内容を知らないまま
入社した人もいたのだと思います。
例えば、人材業界にキラキラした憧れを持って、
泥臭い部分をよく知らないまま入社してしまった社員もいました。
また「もし内定を出したら就職活動を続けますか?」
という問いに「就活はすぐ辞めます」と回答する人も
積極的に内定をだしていたのですが、この採用の仕方も悪手でした。
それから、想像以上に優秀な人から応募があり、
こちらが「こんなに優秀な人を教育できるだろうか」
と、ひるんでしまうようなケースもありました。
採用の時点でミスマッチがおこると、
教育ではどうにもなりません。
内定を出された側も出した側も不幸になるので、
できるだけお互いのことを知ることが大事だと痛感しました。
3 変化①:「合わない」人の打ち出し
ーミスマッチが多発してしまった後は、どう変わっていったんでしょうか?
まずはシナジーとして
「こういう人に来てもらいたい」という
ペルソナの設定をより明確にしましたね。
採用がうまく行っていなかったときは、
「本当に自分たちが欲しい人材はどういう人
なのか?」をきちんと分かっていませんでした。
大きく変えたのは、合同説明会で
「こんな人と働きたい」だけではなく
「こんな人は弊社に合わないですよ」っていうのを
明確に打ち出したことです。
あと、女性が集まるブランディングに
なっていたので、偏ることなく男性も集まるような
ブランディングにも変えていきました。
4 変化②:バーでの説明会や逆求人イベントといった新しい取り組み
ー他社がやらないような取り組みも行っていたと聞きましたが、どういったことをなさっていたんですか。
まず2016年から、バーでの説明会を始めました。
2年ほどおこなったと思います。
昼間にウェルカムドリンクを出して説明会をして。
説明会の後はそのままご飯を食べたり
飲み物を飲んだりしながら、応募者と話すこともありましたね。
それから2017年、2018年には「逆求人イベント」を
行いました。
イメージとしては企業の合同説明会で、出展するのが
「学生側」。
ブースで名刺交換をしたり、企業が学生のプレゼンを
一対一で聞いてお互いに点数をつけ合ったりする、
というイベントです。
最終的にどこの企業や学生が人気だったか、
といったことを発表して、後の採用活動・就職活動は
自由に行っていただくというものでした。
ーなかなか他に見ない例ですよね。
東京で当時すでに数年以上、逆求人イベントを
行っていた会社があったんです。
そことタッグを組むことで、広島での開催を実現できました。
リアルだからこそ魅力を発揮するイベントでしたが、
残念ながら新型コロナウイルスの流行を受け、この企画は終了しました。
しかし、この逆求人イベントを開催したことにより
繋がったご縁もあるのでやってみてよかったですね。
5 変化③:面接の回数を倍に
ーシナジーは今や面接回数が5〜6回にも上ると聞きました。どうして面接を増やしたのでしょうか?
お互いのことを知って、
ミスマッチを減らすことが目的です。
とはいえ私は
「面接ってムダな時間だな」と思います。
企業は学生の本質を知ろうとして
探るように話をするし、学生や応募者は
自分をよく見せようとする。
めっちゃムダです。お互いが着飾るのではなく、
本音を言い合うほうが建設的だと私は思うんです。
だから「言いたいことは言ってくださいね」
と伝えます。嘘はわかりますしね。
6 飲み/ランチ面接って?
ーここ数年の採用活動では、面接が終盤になると、ランチや飲み会に行ってお話をすると聞きました。どういう意図があるのでしょうか?
ひたすら相手のことを知る場であり、
自分たちの思いを話す場をつくることです。
だいたい内定を出す前には、このプロセスを
踏んでいます。
7 採用活動で心がけていること
ー応募者とのやり取りで、心がけていることを教えてください。
きちんと相手のやりたいことについて
聞くようにしています。
その上で、私なりにその人のための最善を考えて対応していますね。
転職組の人であれば、転職に至った背景や
その人の性格を鑑みて、
「その状況だったら中堅企業に行った方が良いよ」
といったアドバイスをすることもあります。
その人の経験や培ったことを生かして、
即戦力として働けた方が良い場合などはそう伝えていますね。
人材やコンサル業務は特に、勉強する習慣がないと
業務についていくのは難しくなります。
転職だと今までの経験がゼロベースになることが多い
ですから、給与が下がってしまう人もいます。
相手のことを考えると、誰でも・どんな状況の人でも
歓迎とは言えません。
勉強の習慣がない人にとっては、
その習慣を身につけることは負荷や時間もかかることだからです。
時には応募者の方にとって厳しい言葉であっても、
本音を伝えるようにしています。