経営理念やミッションについて樽本社長にお話を聞きました!

ーそもそも、企業理念とか経営理念ってどういうものを言うのでしょうか?

一般的には、「経営理念」=経営者の価値観とか理念ですよね。
会社を経営する本人の意思表示というか。

それに対して「企業理念」は経営者ではなく、
企業に紐付いているものだと理解しています。
たとえ経営者が変わっても、大きく会社が変わらない限り続く根幹的な考え方です。

ー最初のころはシナジーに経営理念や企業理念はなかったのですよね?

そうですね。
私がシナジーに合流したのは今から19年前、
平成16年のことでしたが、経営理念や企業理念は
その当時存在していませんでした。

弊社は平成7年に創業してから一馬力で8年間運営してきた会社です。
会社の規模もまだ小さく、その日その日がお客さまと
向き合うのに精一杯で、経営理念を作る余力もなかったのでしょう。

私は第二創業のようなイメージで合流しましたので、
入社して何から着手するべきかを考えた時に
「きちんと明文化して、対外的にも
社内的にも示せるように」と、まず企業理念の作成に着手しました。

ーはじめにできた企業理念について教えてください。

「職の創造」
「人間力の向上」
「共生と幸福(しあわせ)の追求」です。
ひとつずつ補足していきますね。

まず「職の創造」について。弊社の業務内容の一つに
人材サービス業がありますが、ただ「働く職場」を
提供するのではなくて、新しい仕事を提供できないか?と考えました。

たとえば、派遣という働き方は少し前まで存在していませんでしたよね。
アメリカで「テンポラリー・ジョブ」という働き方が
開発されて、それが日本にも導入されていき、今では当たり前の働き方のひとつになりました。

現代においても、色んな職のあり方が研究開発されて
います。
私達も「雇用インフラ」について考えたり、
新しい働き方や雇用方法をご提案したりしながら、
社会に対して価値を提供していこう、という意味を込めています。

ー2つめの「人間力の向上」とは?

弊社の商品は「人のサービス(スキル)」です。
ただ人を送るだけで何もしなければ、
派遣された「優秀な人」が行うサービスが
評価されるのであって、企業そのものに価値があることにはなりません。

「お客様に価値をより認識してもらうには
どうしたら良いか」
「競合他社との差がつくところはどこか」を
追求すると、マネジメント側である会社側こそが能力を開発するべきだ、と気づいたのです。

「人間力」、すなわち
ヒューマンスキルではないかと。
現場へ訪問をしたり、面接を行ったりするときの
コミュニケーションのあり方など。

「ヒューマンスキル」はさまざまな会社が
力を入れていますが、これも当時は一般的ではありませんでした。

ー3つめの「共生と幸福(しあわせ)の追求」はどんなものだったんでしょう?

私達が「なぜ働くか?」を考えたら、シンプルに
「幸せになりたい」が根底にあると思うんですよ。
自分たちもそうだし、関わる人もそうです。

地方で暮らしていると特に、仕事は人生の大きな一部です。
人生とイコールと言っても過言ではありません。
職を通じて社会と自分が繋がっていることで幸せを感じることができるのです。

だから、まずは社員とともに生きて、
その次にお客様、地域、社会と幸せに生きることを
目指す。

その過程で新しい雇用が生まれるし、利益が出たら
納税をするし、社会に対して大きく貢献できるのだと考えています。

ー現在のミッションは「あらゆる人と組織に、元気のきっかけを創り出す。」ですが、どのような変化があってそうなったのでしょうか?

社名の話にも関わってくるのですが、もともと弊社は
ビルメンテナンスの事業から始まっていて、
「ビルテックサービス有限会社」という名前だったんですね。

ところが、人材派遣事業が伸びていって、
社名と事業内容が合致しなくなりました。
そこで、社員投票で平成20年に「シナジー」へ社名変更をしたんです。

先述した経営理念に従って
「他社とどんな差をつけられるか」と経営を進めて
いくなかで、世の中ではどんどん「人間力」とか
「共生」「差別化」という言葉が使われるようになっていきました。

差別化そのものが当たり前になったんです。
そこで、7年前くらいだったでしょうか、
理念の再定義が必要だという風に考えたんです。

他社と比べるのではなくて、「特別になること」
大事なんじゃないかと。
「この人、この会社がなければ困る!」っていう誰かの特別になれるように。

特別な存在として認知してもらえるには、
どうすれば良いのかを考えた時に、「人」を提供するだけでは難しい。
では、「人」を提供して何をもたらしたいか?
ということを考えました。

提供した先にも組織があるので、
「人」と「組織」を同時に元気にさせ、
活性化させていく存在を目指そう、ということになりました。

そうして生まれたのが
あらゆる人と組織に、元気のきっかけを創り出す。
というミッションです。

ー人材を送り込むだけではなく、もっと踏み込んだ関わり方をするということでしょうか?

そうですね。全体的に俯瞰しながらお客さんと
コミュニケーションをとっていき、
お客様の組織でのチームビルディングのことを
一緒に考えるようなイメージです。

「特別な存在として認められるってどういうこと?」
を掘り下げていくと、
特別な存在だと認識する瞬間って、感動が生まれる瞬間だと思うんですね。
理性とか理屈的な評価ではなくて感性的な評価です。

”能力”よりも”魅力”というか。
”能力”は自分との比較や他人との比較に
便利ではあるんだけれど、
特別な評価にはつながりにくいです。

ただ、明文化するときに”魅力”ってなかなか表現が
難しい。なので「相手が私達を特別に思うのは
どういう瞬間だろうか?」と考えていきました。

そこで、「ぐっとくる」というワードが
でてきたんですね。相手の心を大きく動かす瞬間を表現したものです。

私達がサービスを提供することで、いろんな組織に
関わっている人が「ぐっとくる」。
こうやって「ぐっとくる会社を、もっと。」という
スローガンみたいなものが生まれました。

ちなみに、ビジョンとバリューは対外的に
出さなくても良いものだと考えていて、社内の資料で共有しています。

ー経営理念がアップデートされて、ミッション・ビジョン・バリュー、そしてスローガンを設定されたのですね。今のミッションやスローガンは最近変更があったものだということを聞きました。どのような変化があったのでしょうか?

さまざまなチャレンジを重ねた中で新たな事業領域を
広げることができました。
それが「採用支援コンサル」や「経営支援コンサル」
といった組織に直接インパクトを与える事業です。

私はコロナ禍において一人の時間が長くなり、
これまで以上に思案を重ねるようになりました。

「コロナが明けたあとの世界で企業として
生き残るには、もう一段階ギアを入れ直さなければならないのではないか」と考えはじめました。

経営理念は、あくまで経営者が中心で考えたもの。
「社員が自らの思考で生み出して、自分の言葉として
明文化したもの」を持つ必要があるんじゃないか?
という考えに至ったんです。

トップの人間が決めた理念ではなく、社員が自分の言葉で理念を明文化、ですか。

はい。より混迷した時代に突入する上で、
私一人で経営を背負うのはおそらく難しいだろう、と考えました。

そこで、もう一度社員みんなで見直していこう、と。
まず、ミッションについても議論してもらいましたが、そこに変更はありませんでした。

ただ、「ぐっとくる会社を、もっと。」については
「切り口が各事業部で違って良いのではないか?」という話になりました。

そこで各事業部のリーダーと一緒に、
それぞれの事業領域に落とし込めないかを1年かけて協議していったんです。

経営スタイルの一つに
パーパス(purpose)という考え方があるのですが、
これは目的や存在意義を決めて、それに向かって経営をしていくという考え方です。

パーパスは「志」と言う専門家もいます。
いつの時代も困難に立ち向かっているのは志です。
これからの時代を突き進むにはパーパス、「志」が必要だと考えました。

ぐっとくるを、もっと。」という志を
掲げることにしました。同時に、ドリームとして
ぐっとくる10人の会社と、100億円の企業へ」も
目指すことにしたのです。

弊社は1〜12月が事業期なので、2022年の1年間を
かけてミッション・パーパス・ドリームを
企業理念として昇華させることができました。
中身が大きく変わったわけではありません。

でも、社員が主体的に選択した、より能動的な
メッセージを共通言語としてみんなで持てたのには意味があると考えています。

字面だけで見て大きな違いはなくても、社員が自分で選んだ、という感覚を持っていることが大事なのですね。

混迷の世の中を生きていくのに、波に乗れる確率が
高まるのは「主体的な人」だと思うんです。
わけがわからない時代だからこそ、
言葉の力は大事です。

「自分の言葉なのか、他人の言葉なのか」には、
自分ごととして捉えられるかに
大きな違いがあります。

Ver.2の企業理念のままでも当面は進めたかも
知れません。でも、波が来た時に「ココだ!」と
飛び乗れるように、私達は力強く変わっていくほうを選びました。

未来を見据えて、積極的に自分たちを変えていく姿勢が伝わってきました。ありがとうございました!
後編では、「ミッションを達成するためにどんな取り組みをしているか」や「シナジーが求める人材像」などをお伺いしていきます!どうぞお楽しみに!